ホームシックとよく言われますが、僕が日本を離れるときは、海外へ行くことなんて、ちょっとその辺行って来るわ的にしか考えていなかったのです。というのも、今の時代、ここから日本まで、約10時間あれば飛行機飛んで行きます。今日思いついて、明日帰るでも、チケットさえ取れたら、1日あれば、もう日本です。海外は遠いようで、近い。文明の利器フル稼働すれば、なんてことない距離なんだ。実際そうだと思いますが。そんな僕が、まさかのやっちゃいました状況です。 見事はまりました、ホームシック。。。
で、そのホームシックってどうなん?どういう状況?これは味わった者にしかわからないと思います。それと、この「ホームシック」という言葉って、なぜか、海外に行く人に使いますよね。同じような状況の人でも、例えば、国内で単身赴任で一人で暮らしているサラリーマン。下宿している大学生には、このホームシックという言葉使わないですよね。大体、「ホームシックになったか?」とか「ホームシックで大変や」とか言いませんよね。じゃ、何で海外へ行ったら、「ホームシック」って言うんでしょう。家族や友達に会えないのは一緒なんですけど、全く違う点はなにか。それは環境が違う。いわゆる、異文化に触れるってことだと思うんです。せっかく体験したホームシックですので、記憶の新しい間にと思い、発病から完治までの体験と、僕なりの対処法をご紹介します。参考になるかわかりませんが。
僕はこの国へ来たとき最初はホームステイをしました。住む家を探すまでの間、ホームステイすることに決めていたので。2週間だけホームステイをしました。この2週間全く平気でした。ホストファミリーに寂しくないか、とか聞かれても、「いいえ、大丈夫です。」って答えてました。ほんとになんともなかったんです。家族に会えないのは寂しいけど、まだこの頃は「1日あったら帰れる。」と、最初の気持ちが維持されていました。そして、2週間後、新しく住む家も借りることが出来たし、ホストや一緒にステイしていた子たちに別れを告げて、念願のマイ借家へやって来たのです。当然今日から一人です。食事も自分で作らないと、なんでも自分ですることになりました。例えば、「会話」もちろん一人です。う~ん?もうお気づきでしょう。作ってしまいました究極の環境。ステイ先では日本語が話せないというストレスがありましたが、なんとか英語で色々話をしたりして、ワイワイとやっておりました。しかし、この状況ではそれもない。日も沈み夜になると、どんどん寂しくなるし、一人で会話も出来ないし、漫談でもしようか。関西人やし。でも、そんな気力もなし。さらにこの家に、電話がない。というか電話の契約していない。ありゃ~。それに冷蔵庫がない。洗濯機の配管出来てないから。洗濯も出来ない。やらねばならぬことが、目白押し。日本でも引越しをしたその日ぐらいはこんなこともあろうかと思いますが。でも、最低でも、話し相手ぐらいいませんか。思いっきり、ホームシックになるための基礎固めしてしまいました。
2日目、大家さんがやってきて、電話の加入を済ませ、一つ解決。そして、ショピングセンターまで、車に乗せていってくれました。これも大助かり。色々と買い込んで食料品とか。うん?冷蔵庫がない。とりあえず、常温で置けるものを買って。パスタ、お菓子、缶詰。なんか非常食買ってるみたい。まぁ、ここまでは良かったんですが、とうとう、ホームシックにかかる瞬間がやってきました。それは、晩御飯の用意をしようとキッチンへ行き、今日買ってきたものを取り出し、さぁ、作るぞって思ったとき。まず最初、今日買ってきた包丁。なんか切れない。なんで?よーく見ると刃先がギザギザになってる。なんじゃこれは。のこぎりや。日本のと違う。包丁の刃がギザギザやなんて想像もしていませんでした。この時、包丁の違いを考え始めると、日本の家のキッチンが思い出されてきて、「あ~こんなのもあるし、こんな道具も合ったよな。今この家にないよなあ。」そして次に家族が出てきて「今何してるんかなぁ。」どんどん空想が広がって、「あ~そういえば、リビングこんなんやったな、テレビ見たいな。風呂入りたいな。」もうどんどん空想の世界です。包丁一本でどこまで行くのやら。つぎはフライパン。日本のフライパンって底のほうに蜂の巣上のデコボコありますよね。あれって焦げにくくしてあるのだと思うのですが。で、僕が買ってきたフライパンないですデコボコ。大体想像できると思います。次にどうなったか。焼く→焦げる→日本と違う→キッチン・家族・家の状況が出てくる。。。次は、食材。冷蔵庫がない。換気扇が回らない。炊飯器がない。シャワーの出が悪い。電気が暗い。そりゃ、もう何でも日本と比べて違うと思うと、どんどん空想の世界へ入っていきました。
それで、この空想の世界が次々発生するわけですが、どんどんひどくなっていってすべて、マイナス思考になって行きました。包丁が違う→日本と違う→家族が出てくる→話し相手がいない→仕事がない→英語が出来ない→明日が見えない→帰りたい→ゴールイン。凄いです。自分でも病気と違うかなって思いました。何か違いを発見すると、いきなりマイナス回路始動です。
でも、なんとかここから脱出する方法はないものかと探しました。違いを感じてどんどん深みにはまりながら、「なんでこう思うのやろ。最初と違うねんけど。10時間あったら帰れるって話はどこいったんやろ。」と色々考えました。考えながらも、「大家さんに帰るってどう言おうかな。」とか、「電話料金の銀行引き落としの手続きしたけど、ことわらなあかんな。」とか、まぁ、大変でした。そうしてるうちにわかってきたことは、違いを素直に受け入れたら、どうかなって思ったんです。すべてにおいて。ここは日本じゃないし日本のようにはいかない。包丁も、フライパンも、シャワーも、仕事も、言葉も。まぁ、これはこれでよしとしようと思ったんです。使えないわけでもないし。出来ないわけでもない。どうしても嫌なら、探せばきっと日本と同じようなまたはそれ以上のものがあると思ったのです。実際なんでもあります。広告を見る限りでも日本と遜色ないだけのものいっぱいあります。(MDはないようですけど)今この家にないだけで。シャワーもこれでもかって思いっきりレバー回して。包丁はのこぎりみたいにギコギコ切って。フライパンはもう中華料理屋みたいにガンガン、ドンドン、ガリガリと。仕事も何とかなるよと。言葉もとりあえず通じてるしまぁええか。って感じで。いわゆる開き直りでしょう。要は。そう思うようになると一気に全てが楽になりました。あとは、どうコントールしていくかです。違いを感じるときって突然来ますからね。その瞬間に気持ちをコントロールして、深みにはまらないように使用できる最大限度で何とかこなして、馴染んでいく。どうしてもダメなら、別のを買うのか、取り替えるのか、誰かに頼むのか、何でもできると思う開き直りで望んで行けばホームシックにはならないと思います。
開き直りの考えで、全てを考えていくと、違いを見つけても、直ぐに順応していきます。たとえば、僕の場合、家の電気が一部使えなくなりました。やっと冷蔵庫が来た日に冷蔵庫の電源をつないで約10分後、異変が発生。なんと、冷蔵庫が動いていない。ほかのコンセントにつないで約10分また動かなくなった。「あ~こりゃ、中古の冷蔵庫やから、壊れてるな。」「でも最初は動いたのに?」それで、ほかの電気器具をコンセントに差すと、動かない。「はぁ~、これは電気の問題やな。あした、大家さんに言おう。」それで終わりです。今までなら「違う!」だったのが、「まぁ、こんなもんやろ。電気屋また、そのうち来るやろ。」と簡単なもんです。いったん開き直るとこんなもんです。ちなみに今我家は配水管のトラブル発生中です。(電気は回復済み。冷蔵庫快調です)あす、水道屋さんが来る予定です。ほんまに来るんかなぁ?
今では、感情統制もうまくいっており、「違い」を楽しんでいます。僕の場合約4~5日で完治しました。予防策としては、僕が思うに独りぼっちにならないようにすること。だれかと話しをして気を紛らわすことだと思います。学校なら友達、職場なら同僚、あと、ホストファミリーとか、ご飯食べるときとか食べたあとに話したり。僕の場合、大家さんがいい人で、いつでもわからないことあったら来てもいいよ。って言われてるんですが、特にわからないこともないし、わざわざわからないこと作って何回も聞きに行くのもへんですし。こっちも大人だし。で、結局、家で一人状態だったんですが。パソコンもプロバイダに入ってなかったのでインターネットできなかったのも大きかったと思います。これ重要ですね。インターネット使えればメールできますし、これも予防策だと思います。ただ、人と会って話をする。これに勝るものはないと思いますが。で、もしホームシックになったら、いち早く開き直ることだと思います。色々書きましたが、以上僕のホームシック体験談でした。