2003年11月6日(木)
ここでは、実際に僕がおこなった車(HONDAステップワゴン)の輸入に基づき、どうやったら 日本からニュージーランドへ車を持ち込めるのかをご紹介します。あくまでも「僕のケースでは こうだった。」ということなので参考程度にしていただければと思います。 持ち込みたい車がニュージーランドの規制対象に該当していないか確認。 せっかく輸送してもNZの適用にあわず、日本に逆戻りなら意味がないので、前もってLTSA NZのHPhttp://www.ltsa.govt.nz/index.htmlを参照して、持ち込みたい車が現地での規制対象 に該当していないか確認します。 僕の場合ホンダ ステップワゴンは規制対象にはなっていないので持込は可能でした。 しかし、実際にこちらで車検を通した際に新たに後部座席のシートベルトとストップランプを追 加で装着しなければなりませんでした。ということで、規制対象になっていない車であっても実 際に検査を受けると、細かな点で色々と指摘される場合があるということです。僕の場合もこのシートベルトとストップランプの2点で$250ぐらい余計に掛かりました。
輸入手続き(日本→NZ)
まず、ニュージーランド向けの船を提供している船会社または、海上荷物を取り扱っている会社を探すことから始まります。その次は車の登録抹消から仮ナンバープレートの取得、通関 そして、積荷港までの車の持ち込みとなります。
船会社(貨物の輸送を行う会社)
・海上貨物取り扱い会社(通関や貨物の船積みをして くれる会社)への依頼。 通関・船積みに関する必要書類 パスポートのコピー 航空券のコピー INVOICE 費用
結局日本国内での費用としては通関料3000円と取り扱い手数料15000円でした。僕の場合は自宅から船積み港までの陸送やインボイスなどの書類の作成は自分で行いました ので、陸送や書類作成まで全てとなると費用も高くなります。 その他の費用としては海上輸送料、海上保険料などが必要ですが僕の場合はニュージーランド到着後にこちらで支払うようにしました。
海上保険(補償範囲)
中古車の場合、保険料は3000円と安いのですが、その分保険の範囲も制約が大きいです 。まず、保険の適用は船が沈没または座礁した場合で車が未着または全損の状態であることが条件です。 仮に輸送中に車をどこかにぶつけて傷が付いても保険の適用にはなりませんし、輸送会社も免責されるようです。しかし、このようなことはめったに無いそうです。 ところが僕の場合、オークランド港で車のボディにかなり擦り傷が入っているのを発見しました。 塗装が剥げるほどのところは1箇所、あとは擦ったような傷が何箇所かついていました。 港で「車に傷がついている!」というと港の職員に「無事到着したんだから、それでいいじゃな い」と軽く言われました。確かに無事到着して嬉しかったです。でもかなり綺麗に乗っていたので残念ではありました。
注意事項として
車の輸送に際しては、まず車を載せる船を手配しますが、NZ行きの自動車運搬船や貨物船は個人レベルでの申し込みに対応できるスペースの確保が難しいです。僕の場合も予定の船に積めるかどうかは、出航のぎりぎり前までわかりませんでした。幸いキャンセルのスペースが出来たので積むことが出来ましたが、キャンセルが出ていなかったら次の船まで港の駐車場で待機せざるを得ないところでした。それも次の船がいつになるのかは正確には分からないです。次の船にスペースがあることを祈りながらひたすら待つのみです。
車の登録抹消手続き
最寄の陸運局にて簡単に手続きが出来ます。手続き完了後に廃車証明書を手渡されます。
必要書類
印鑑証明書 1通
実印
車検証
ナンバープレート 2枚
費用
登録抹消費 350円
用紙代 35円
仮ナンバープレートの取得
登録抹消した車を港まで持ち込むために必要です。ナンバープレートが無いわけですから 公道は走れませんので、仮ナンバーが無ければ陸送という手段をとらなければなりません。
申請場所
最寄の市区町村役場
必要書類
廃車証明書
自賠責保険書
費用
発行費用 700円(市区町村にて異なるかもしれません)
有効期間 発行日を含めて5日以内。(ナンバーの発行は車を港に持ち込む日を決めてからの方がいいと思います。)
通関及び積荷港への車の搬入 通関に関してのINVOICE(送り状)などの書類作成を行います。 通関の日に車を税関まで持ち込み書類を提出し車をチェックしてもらいます。
<注意点>
インボイス(送り状)の内容〔車の形式、車名などの詳細事項、及び現在評価額など必要 事項〕は全て記入します。
必要書類
パスポート
航空機のチケット(現地で自家用として使用する目的で輸出する為、「別送品」としての申請となります。なので、現地までの航空機のチケットが必要となるわけです。
インボイス(送り状)
費用
3000円
車のチェック
税関の職員が実際に車の外、中を見て調べます。車内に家財道具などが積み込まれていないか確認します。基本的には車の標準装備品(工具など)以外は積み込めないようです。 仮に積み込みの許可が出たとしても、ニュージーランドに船が着いて車を確認したときに「積 んだはずのものが無い!」ということもあるそうです。ちょっと恐ろしいですよね。 なので出来るだけ何も積み込まない方がいいと思います。 今回は基本装備の他にバッテリーケーブル、牽引ロープ、クッション1個を積み込みましたが、 クッションのみ到着しませんでした。どこへ行ってしまったのでしょう。僕のクッション????
ニュージーランドでの手続き
まずは、海運会社にて輸送費などの支払いをします。次に税関での申告とMAFの検査。 無事検査が終了すると、陸送をして車検(Vehicle Inspection, WOF )と登録(REG)を行います全て終わると、ようやく公道を走れるようになります。
オークランド港 海運会社での手続き
日本の海上貨物取り扱い会社から船積み書類B/L (Bill of lading)が送付されてきますので、 それを、現地の代理店(海運会社)に持ち込みます。 僕の場合は海上輸送費とオークランド港の利用料(ポートチャージ)をNZドルで支払いたか ったので、その料金とB/Lを持ってシティにある海運会社へ行きました。 支払いを済ますと、Delivery Order(車を港で引き取る為の書類)とArrival Notice(船が 港に到着したことを伝える書類)という2つの書類を受け取ります。 ちなみにArrival Noticeは家にも送付されてきます。
必要書類
B/L 輸送費などの料金 B/Lに記載されている金額
Customs(税関)とMAF(ニュージーランド農林省)での手続き。
次にシティにあるNZ Customsに行きます。 New Zealand Customs Houseという建物がAnzac Aveにあります。 4Fへ行き、まずMAFの窓口でArrival Notice、Delivery Order、B/Lなどを提示します。すると、港でのMAFの検査がどうであったかを伝えてくれます。この検査は車の内外の汚れ 具合を調べるものなのですが、検査は厳しいとは聞いていましたが、僕の場合最悪なことに 「再検査が必要である。」とのことで、追加料金を払わなければなりませんでした。おまけに車 が汚いのでさらにスチーム洗浄するように言われました。日本でかなり念入りに車内やボディの下まで綺麗にしたつもりだったので、この要求には目を疑いましたが、ここですったもんだ言ったところでどうしようもないと思い、言われるがままに「はい。はい。」というばかりで した。 支払いを済ますと、書類を2枚くれます。今度はそれらを持って同じ階にあるCustomsの受付に行きます。
下記の必要書類を提出すると通関手続きをしてくれます。車に家財道具など を積んできた場合は何を積んできたかを申告します。 NZの永住権を持っていれば自家用車として使用する場合は関税は掛かりません。ただし、 輸入後2年間は車を売り払うことは出来ません。もし売ってしまうとその時点で関税が掛かります。
必要書類
B/L Arrival Notice
Delivery Order
パスポート
日本の車検証(登録抹消分)
日本で車を買った時の領収書など購入価格のわかるもの
(注)CustomsではMAFで受け取った書類が必要。
料金
Vehicle Inspection Fee $20,00
LTSA Inspection Fee $44,30
Vehicle Re-Inspection Fee $20,00(再検査が必要な場合のみ)
合計$108,60
MAF再検査スチーム洗浄(必要時のみ) 僕の場合、MAFの検査で車が汚いと判断されたので、スチーム洗浄をしてもらう為に、一旦 港へ行かなければなりませんでした。検査場は港(Jellicoe Wharf)にあります。港にはゲ ートがあり、係官の指示がないと中には入れません。 ゲートでスチーム洗浄の件を言うと、検査場まで車(バン)に乗せて行ってくれました。 スチーム洗浄の事務所で必要書類を提示すると、「洗浄しておくから、明日引き取りに来るように。」と言われ、再びバンに乗って港を一旦去りました。 翌日訪問した際は綺麗に洗浄されてありました。しかし、輸送時に出来たいくつかのスリ傷も 綺麗になった分、余計に目立つようになっていました。トホホ・・・です。
必要書類
通関(Customs)でもらった書類
Delivery Order
料金
$82,50+GST
陸送
港から車の検査場(Vehicle Inspections)を受ける場所までは陸送しなければなりません。 何社か陸送会社へ問い合わせをしましたが、港からの車の輸送には特別な免許を持った陸送会社でないと行えないそうで、結局ステップワゴンが到着したJellicoe Wharfにある 陸送会社に輸送してもらうことにしました。スチーム洗浄が終了したことを告げると、MAFや Customsの書類を確認してから輸送を引き受けてくれます。あとはどこに運ぶのかを告げて料金を支払うと手続きは終了です。
必要書類
B/L
Delivery Order
Customsの書類
MAFの書類
費用
料金 $40,00
Vehicle Inspection
通常海外から持ってきた車は全てニュージーランドの規定に当てはまるかを検査します。 LTSAの規制対象となっていない車であっても公道を走る為には全て検査が必要です。 検査には約1日かかり、かなりの費用も掛かりました。 事前にLTSAでニュージーランドの規定に当てはまることを確認していたのですが、それでも基本検査料金$380が必要となりました。 年式の古い車などはもっと掛かるそうです。78年式のBMWの検査では数千ドル掛かったとInspection会社の人が言っていました。特にシートベルトの規定が異なるようです。 僕の場合は初めにも書きましたが、シートベルトとハイマウント・ストップランプの追加が必要で$250掛かりました。
必要書類
B/L
日本の車検証(登録抹消分)
MAFの書類
料金
検査料金$380
後部座席シートベルトの追加$200
ハイマウント・ストップランプの追加$50
合計$630
登録(REG)及び車検(WOF)
自動車の登録(REG)については半年分と1年分のどちらかを選べるようになっています。 今回は1年分登録し、$375でした。 車検は平均$30ぐらいです。ステップワゴンの状態が良かったのでどこも修理の必要も無く 車検(WOF)は難なく通過できました。このWOFは半年に1回受けなければなりません。 車検が済むと日本と同じくフロントガラスにシールを貼ります。登録(REG)もフロントガラスに登録 済みのステッカーを貼り付けます。登録が済むとこのステッカーとナンバープレートが手渡されます。 登録が完了してナンバープレートを取り付けて初めて車を運転することが出来るようになります。
以上で輸入手続の全てが完了です。
我家にやってきたステップワゴンです。フロントガラスには港での識別の為の色々な数字や 記号が書かれています。
総評
今回自分で手続きをして車を持ち込んだわけですが、最初は分からない事ばかりで苦労しましたが、「やれば何とかなるものだ。」とつくづく思いましたし、港で自分の車を見つけた時の感動は忘れられないものがありました。 「約2週間も掛けて、日本からよう頑張ってここまで来たなぁ!」って感じでした。 手続きの内容としては日本での手続きは言葉もわかるしそれほど難しくは無かったですが、 やはりこちらへ来てからの手続きには結構悩まされました。まさしく右往左往の状況でかなり疲れました。 しかし、一度経験してみると今度は大丈夫!と思えるようになります。 こちらの人たちにも色々と質問したり、車検や陸送の会社を捜すときでも「うちじゃ出来ないけど、ここの会社を紹介するから行ってみれば。」みたいに親切に色々と教えてもらったりもしました。MAFでは「この車はダーティー。」と言われショックを受け、港で車を見つけた時にかなりの擦り傷も見つけてまたまたショックを受けましたが、今我家のガレージに止まっているのを見ると、「ほんと、よう来たなぁ。」って感じです。ステップワゴンはオークランドでもほとんど見かけないせいか、近所の人たちもうちの前を通るたびに車を眺めていってます。ちょっと自慢です!! 手間隙掛けて輸入した車ですから、これからも大切に乗っていこうと思います。